chronoireのアニメメモ

面白いアニメ全部MIRO

2020冬アニメ終盤レビュー

PSYCHO-PASS3 FIRST INSPECTOR 6点

無ですね。キャラクターに魅力が感じられない。全然オチていない。問題提起と最後のソリューションは立派に脚本として成立するものだとは思うけど、その間の過程がグダグダのへなちょこ。

 

映像研には手を出すな! 9点

純粋に知識として面白い。SHIROBAKO。金森氏の言っていることは正論だけど、だからといってキャラに代弁させるのは寒い。ちび森氏しか正義ではなかった。アイデア合戦みたいなシーンは非常に好きだった。全体的にストーリーというものがほぼ無いに等しいので、一気観するとちょっと疲れがち。最後のアニメは何?浅草氏のふにゃっとする顔の画が連続的に動いているのはとても良い。あと、学園祭は完全に夜は短し歩けよ乙女でしたね。アニメの中、所々で湯浅監督の他の作品が頭に浮かんできた。そういう描き方ができるのは強みだと思う。

 

pet 8点

10点あげたいけど、ちょっと芸術点が足りない気もするので残念。原作のストーリーが強いんだろうなあとは思ったけど、それをアニメの構成に非常にうまく転換できていて、そこが一番素晴らしかった。毎話盛り上がりがちゃんとあって、飽きずに見続けられる。ストーリーと設定は難解なんだけど、漫画の尺の速度をそのまま使ったりせずに(←多分‥‥漫画未読なので)、アニメという時間に囚われた媒体でもわかりやすく説明できてるのも良かった。惜しむべくは1話と2話だな、つかみが弱かった。秘密 -トップ・シークレット-を彷彿させるような設定だったのでアニメならではの表現・芸術面で大きく期待していたんだけど、そこは凡作の域をでなかったと思う。もっとインパクトのある画だったら1話切りする人少なかっただろうな。ストーリーと構成は文句なしの10点満点。結局、あの景色はモンゴルなんだろうか。

 

ID: INVADED 10点

超王道的犯罪SFサスペンスの神作。このクオリティの脚本をハリウッドの映画ではなくアニメという媒体で見ることができたのは、一アニメオタクとしてとてつもなく幸運なことだと思う。

おしゃれすぎる。センスの塊。このセンスは絶対あおきえいじゃないでしょw。本当にいろいろな作品からアイデアを取り込んでいるなって印象だけど、それを非常にうまくつなぎ合わせているからこれが面白くならないはずがない。(もともと全ての作品はその要素が古典に分解されるので、つなぎ合わせ方によってその作品の本質は決定される)

本堂街はとってもフェティッシュな女の子。制服+合法ロリ+剛毛+ショートヘア+タイツ+あの性格=跳満です。

酒井戸の家族の描写は本当に辛かった。今でも思い出すだけで涙がこみ上げてくるし、10話では頭抱えて泣きじゃくってしまった。見せ方が上手いと、ここまで視聴者を感情移入させることができるのかと感銘を受けた。

イドの描写などにみられたシンプルさは、脚本の中にも存在している。登場する設定や世界観の説明はまったくもってくどさが感じられない。イドの中の名探偵が記憶喪失なのは、この複雑な世界において、視聴者と主人公を同期させることができる古典的な手法とも受け取れるが、そこにそれ以上に意味をもたせているところが上手い。小道具や台詞、カットシーンにも無意味なものやたるんだ部分は感じられず、視聴者は25分に渡って緊張感を抱き続ける。後々明らかになる世界の真相に関しても、それ以前の話数で予め伏線が散りばめられている。全体で非常にスッキリしたストーリーラインを持ち、かつ毎話ごとに起承転結を設け次の話に繋げていくのは、面白いアニメ全てに共通する基本的な構成だし、このアニメにおいてもそこはよくできていた。最終話の直前で残されていた謎や諸々を解消し、期待されるシンプルな結末(ジョン・ウォーカーとの最終決着および飛鳥井との対話)のみを残すのは、古典的ではあるが脚本が初期からかっちりハマっていなければできない強力的な手法だ。視聴者は膨大なカタルシスを得られる。イドの中における名探偵酒井戸とイドの外での百貴 船太郎は一対一で対応しており、すでに起こってしまった事象を解決するしか無い名探偵と、実際に救いをもたらすことの出来る警察官という立場の対比によって、贖罪と未来に対する希望(だろうか?)を最終的なメッセージとして表現している。

このアニメが難解でよくわからなかったという人たちは、視聴中スマホをいじらずにもう一度ちゃんと見てほしい。いつもつまらないアニメばっかり見てるから…

 

マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝 10点

ソシャゲ特有のストーリーをアニメ脚本にうまく適合させ、それに合致した高い演出力を見せてくれた怪作。

確かに1話のつかみは弱かったかもしれない。この時点では、いろはの妹の謎しか提示されず、まどマギの設定を受け継いでいるこの世界にいまいち魅力を感じられなかった。しかし、2話から3話で噂、4話から5話でドッペル、6話から7話でマギウスの翼と、次々と新しい設定が章立てされた脚本に沿って展開されていくのは、ショーシャルゲームにおける脚本の強みを上手くアニメ脚本に落とし込んでいることが感じられて心地よかった。特に最終話後半の怒涛の展開とアリナ・グレイの「ワルプルギスの夜」への言及により旧作と新しいパスがつながる爽快感、そしてED後の予告と、どれもが、1期で終わるミクロな脚本を2期へ続くマクロな脚本にシームレスに接続させており、鳥肌ものであった。

この作品において脚本の次に言及せねばならないのはなんといっても演出であろう。1話や2話では演出がくどい部分も感じられるが(あからさまに不連続な人物の動き、背景の人間が異様に静止している等)、それ以降はそのような性質は鳴りを潜め、逆に制作側の意図をわかりやすく伝えるバイパスとしてとても良く機能できている(これは3話からやっと脚本が演出に並びついたと受け取ることも出来る)。本作の演出の面白いところは、非常にわかりやすい比喩表現やメタファがいたるところに散りばめられている点である。本編はもちろん、オープニングからエンディングまで(劇団イヌカレー風という点で一貫した)演出のパレードとなっており、ここに注視して制作側の意図を読み取っていくと非常に面白い(例えば、OPとEDにおけるいろはとやちよ、フクロウ幸運水のカウンター、10話で実家に一度戻るさなの道中の描写、モノクロ回想等)。マギアレコードは、(我のように)演出に興味を持ち始めた人間に強くおすすめできる作品である。

このように、全体を通して劇団イヌカレー(じゃなければ誰だ?)の強みを活かす演出と、そこに適応した脚本により構成されている今作は非常に秀逸なアニメーション作品であると言える。二期にさらなる進化を期待したい。できればもっとホラーっぽい感じで。あと、キュウべえの声はちょっとどうにかしてほしい。